スワップ運用に興味を持った全ての人類が夢見るもの、それは・・・そう、スワポ生活。
果たしてスワポ生活は可能なのか、スワポ生活を成立させる条件とは何か?
・スワップ生活に必要な資金は?
・スワップ生活の落とし穴
・米ドルなど、安定通貨での実現は?
そんな人類のロマン、スワポ生活ついてこのような観点で考えていきたいと思います。
スワポ生活とは:スワップポイントによる収入のみで生活すること。
一言でいうと
やめとけ
スワポ生活の前提条件
まず、スワポ生活の可否を語る前に、何をもってスワポ生活の達成とするかを決めておきましょう。
税引き後毎月30万円
ここから国民健康保険料などが引かれるとしても、まあ一人なら十分生活できる水準ですよね。
スワップポイントの課税方法はFX会社によって異なりますが、最終的には20.315%の申告分離課税が行われます。
よって、税引き後30万円/月ということは、年間450万円です。
これを達成する為の条件を考えていきましょう。
なお、スワップポイントなどは以下の条件で計算していきます。
※2018年の実勢を基にざっくり算出しています。あまりに市場と乖離したら更新します
レート
TRY/JPY = 25
ZAR/JPY = 8
MXN/JPY = 5
スワップポイント
TRY/JPY = 100円 / 1万通貨
ZAR/JPY = 15円 / 1万通貨
MXN/JPY = 10円 / 1万通貨
20万あれば充分生活できるよ、って方は各金額を2/3にして受け止めてください。
スワポ生活の青写真
年間450万円のスワップポイントを達成するにはどのようにしたら良いか。
1日にして12,328円、トルコリラ円124万通貨保有で成立する額です。
レバレッジ3倍なら、必要な資金は1000万円ほどです。
つまり、1000万円あればスワポ生活は成立・・・する訳ないですね。
この理論の穴をつついていきましょう。
生活を掛けるのにレバレッジ3倍は高すぎる。
まず何よりもこれでしょう。
ただの運用ではなく、それ一本で生活をするということは背水の陣ということです。
レバレッジの考え方についての記事でも書いていますが、スワップポイントだけに収入を依存するのであれば大きなリスクは取れません。
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レバレッジ3倍ということは、貨幣の価値が33%下落したらアウトです。
ドル円でさえ、リーマンショックの際には124円から76円まで、38%以上下落しています。
私がスワップ運用を始めた2014年末、トルコリラは50円程でしたが、そこから33%下落するまで2年も掛かりませんでした。
2008年1月のトルコリラは95円でした。10年後の2018年1月、トルコリラは28円まで下落しています。10年で約70%の下落です。
この下落に耐えるには、レバレッジは1.4倍以下でなくてはいけませんでした。
トルコリラはこの期間特に暴落した通貨ではありますが、高金利通貨というのはいずれもそのようなリスクを孕んでいることを忘れてはいけません。
スワポ生活を目指すならば、レバレッジはせいぜい1.5倍が限界でしょう。
一つの通貨に全力投球は危険すぎる
ついついスワップポイントが高いトルコリラに目が行きがちですが、一極集中はあまりに危険です。
どんなに『高金利通貨でスワポ生活がしたい!』と言っても、せめて複数の通貨に分散するくらいのことはしましょう。
3通貨に均等に分散すると、以下のようなパッケージが組めます。
運用資金400万円・レバレッジ1.5倍
トルコリラ円8万通貨:800円/日
南アフリカランド円25万通貨:375円/日
メキシコペソ円40万通貨:400円/日
これで1日1,575円のスワップポイントなので、これを8ロット運用すれば目標達成!
こんな感じですね。つまり、運用資金は3200万円。
これくらいあればスワポ生活ができる・・・?
本来であればドルなど、ある程度安定した通貨にも分散した方が好ましいです。
スワップポイント下落の可能性がある
最後に、スワップポイント低下についても考えておく必要があります。
高いスワップポイントを裏付けているのは、高い政策金利。
政策金利が高いのには大きく2つの理由があります。
・インフレを抑制するため
・海外からの投資を呼び込むため
ここでの細かい解説は控えますが、どちらも国が成長していくと共に改善され、高い政策金利は必要なくなります。
つまり、投資対象の国が成長すればするほど、スワップポイントは低下する可能性があるということ。
(反面、通貨価値が上昇してキャピタルゲインを得られる可能性もあるのですが。)
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落とし穴まとめ
・通貨価値の下落を考えると、レバレッジは低く設定する必要あり。
・当然対象の通貨も分散する必要がある。
・スワップポイント自体が低下するリスクにも注意。
そもそも、本当に高金利通貨でなくてはいけないのか?
根本的な疑問なのですが、スワポ生活を送るのにトルコリラ・南アフリカランド・メキシコペソのような『いわゆる高金利通貨』である必要はあるのでしょうか。
例えばドル円だって、1万通貨あたり50-60円前後のスワップポイントが付与されます。(2018年現在)
このくらい付けばスワポ生活できちゃうんじゃない?
以下の条件で計算していきたいと思います。
USDJPY = 110
1万通貨あたりスワップポイント:50円
年間450万円のスワップポイントを獲得するには、約247万通貨が必要です。
これをレバレッジ1.5倍で達成する為に必要な資金は、1億8082万円。
もう一度言います。
1億8082万円
・・・このくらい資金があるなら、配当金生活の方がいいですね。
スワポ生活の魅力は、その高金利を活かして少ない資金で大きな収入を得ることができることですから、魅力が台無しです。
ドルは1通貨あたりの価格が大きいので、必要証拠金も莫大になる。
サヤ取りの方が現実的?
スワップ運用の手法として、サヤ取りというものがあります。
投資効率は落ちますが、通貨の下落に対するリスク軽減という意味では非常に有効です。
年間約10%程度の収益率が期待できますので、必要資金は4000~5000万円程。
ハードルは上がりますが、安定感は遥かに高まりますので一考の余地はあるかと思います。
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何も、最初から3000万円用意しなくてはいけない訳じゃない。
スワポ生活には3200万円必要・・・でもそんな資金、ポンと出てきたら苦労しないですよね。
なら、その資金をスワップポイントで稼ごうじゃありませんか。
3200万円で年間360万円(税引後)稼げるということは、同じ比率でポートフォリオを組むことで年間11.25%のスワップポイントが稼げるということ。
100万円が1年で111.25万円に。1年では11.25万円しか増えないけど、これを複利で回していけば何と32年で到達できます!
・・・ちょっと遠いですね。
元手資金別、3200万円に到達するまでの所要年数をまとめると以下のようになります。
100万円:32年
300万円:23年
500万円:18年
1000万円:11年
1500万円:8年
2000万円:5年
なるほど。なるほど。
更に、毎年少しずつ増資して行けば期間を短縮できそうです。
例えば、100万円スタートで毎年100万円増資しながら複利で回していけば13年で達成。
毎月30万円じゃなくて20万円でいい!というなら10年です。
決して楽な道のりではありませんが、その先に待っているのは夢のスワポ生活。
最初の一歩を踏み出さない人には決して訪れることはありません。
まとめ
・スワポ生活をするなら、『レバレッジ低め』『通貨分散』は必須。
・レバレッジ1.5倍で約3200万円必要。
・通貨価値の下落、スワップポイントの低下などリスクは大きい。
・とはいえ、ドルなどでは非現実的。
・原資を貯めながら複利運用していけば、届かない金額ではない。
『スワポだけで生活する』と言ってしまうとハードルが上がりますが、月10万円、いや5万円でも収入があれば世界は変わります。
車の一台くらい維持できますし、住居ならワンランクアップ。豪華なディナーは月に2回。一泊くらいの旅行もできるかな。
仕事を変えても生活水準を維持できるかもしれません。独身ならアルバイトでも生活できるかも?
スワップ運用、初めてみませんか?