スワップ運用の基礎知識

卵は一つのカゴに盛るな!ポートフォリオ運用(分散投資)によるリスク管理の重要性。

トルコリラを始めとした高金利通貨は政策金利が高いので、保有しているだけで高額のスワップポイントが付与されることが大きな魅力です。

しかしその一方で新興国ならではのリスクが高く、値下がりの危険が付きまといます。

近年ですとトルコリラ、リーマンショック前だと豪ドルやポンドなんかで大きな損失を出した方も多いのではないでしょうか。

そんな時、ポートフォリオ運用(分散投資)が出来ていれば損失は小さく抑えることができたかもしれません。

・ポートフォリオとは?

・『卵は一つのカゴに盛るな』という格言

・スワップ運用におけるポートフォリオ

 

という点についてまとめていきたいと思います。

・・・リーマンショック級だと流石に何やってもキツいですけどね。

まとめると

ポートフォリオとは、複数の資産に分散して投資すること。

一つのカゴを落としても、卵を盛るカゴを分けていれば全部割れてしまうことは防げる。

高金利通貨も同様に、一つに集中するのではなく複数通貨に分散しよう

 

ポートフォリオとは?

ポートフォリオの原義は、書類を運ぶ為の平らなケース。近代では書類カバンのことも含みます。

投資の世界においては、リスク分散の為に複数の資産に分散して投資する際の配分・構成のことを指します。色んな書類(資産)をまとめて管理する為の器、といったニュアンスですね。

具体的な例で言ったら、『株に50%、外貨に50%』(更に細かく分けたものも含む)とか、『ドルに40%、トルコリラに30%、日本円に30%』とか、そういった分散のことをポートフォリオと呼びます。

 

『卵は一つのカゴに盛るな』という格言

相場の世界には『卵は一つのカゴに盛るな』という格言があります。

10個の卵を一つのカゴに盛っていて、そのカゴを落としたら全部割れてしまう。でも、5個ずつ2つのカゴに分けて盛れば、片方のカゴを落としても半分は割れずに済む

5個のカゴに分ければ、10個のカゴに分ければ・・・分散先を多くすれば、それだけリスクに対する耐性が高まります。

セオリーは国内外の株と債券・通貨・不動産・原油や金属などに分散していくことですが、高金利通貨投資にも応用することができます。

例えばトルコリラに集中投資するのではなく、トルコリラ・南アフリカランド・メキシコペソなどに分散して投資することで、一つの国でクーデターや政局不安などが起きた時にも損失を限定することが出来ます。

トルコリラに全力投資している時にトルコリラが半額まで下落したら資産が半分になってしまいますが、トルコリラの比率が30%ならば資産の減少は15%です。

※レバレッジは考えないものとする。

逆に言えば急上昇した時の利益も小さくなる訳ですが、スワップ運用はインカムゲイン狙いの投資ですから、損失を抑え長期に渡って保有できることの方が重視されます。

トルコリラ一本の方が期待されるスワップポイントは大きいので、期待リターンを取るか、安全を取るか、そのバランスは悩ましいですよね。

 

『日本円だけ』も一つのリスク!?

日本人には『投資はリスクがあるからやらない』という方が非常に多いです。

まあ、気持ちは分かります。

でもよく考えてみてください。日本に住んでいて、投資をしないということは即ち『全ての資産を円で保有する』ということと同義なんです。

円の価値が下落したら、あなたが持っている1万円の価値も低下するのです。

でも1万円は1万円でしょ?と思うかもしれませんが、通貨安は即ち輸入コストの増加に直結します。そして、物価が上がります。1万円は1万円のままですが、今まで1万円で買えていたものは2万円になるかもしれません

現に日本は今、賃金の上昇がインフレに追いつかない(つまり、物価は上がるのに給料は上がらない)スタグフレーションという状況に陥りつつあります。

この状況が続けば、投資をせずに資産を保有し続けることは、どんどんその価値が下落し続けていくことを意味します。

円だけ持ち続けることも、実は一つのリスクなんですよ?

 

スワップ運用におけるポートフォリオ

高金利通貨の中でも、特に必要証拠金あたりのスワップポイントが高いトルコリラが人気です。

かと言ってトルコリラに全力投資をすると、トルコに何かあった時に大きな損失を被ってしまいます。

実際のところトルコリラは長期に渡って下落を続けていますので、多数の投資家達が散って行ったはず・・・。

じゃあ南アフリカランド・メキシコペソなら安全か?というとそれもまた疑問が残ります。

どれが良い・どれが悪いと語るよりは、三通貨に分散して投資することでリスクを軽減していく方が建設的でしょう。

もちろん、これは『高金利通貨の中で分散』という話。

間違っても全資産を三通貨に分散!なんてやらないようにしましょう。全部吹っ飛ぶ可能性も充分ありますよ。

どのくらいの配分が適切かは人それぞれですが、ゼロになっても生きていける範囲で投資しましょう。

 

もしポートフォリオ運用をしていたら・・・

ポートフォリオがいい、分散投資をすべき、とか言いつつ実際のところ効果はあるんでしょうか?

2015年1月~2017年12月までの3年間、トルコリラだけに集中投資した場合と3通貨均等に分散投資した場合を比べてみたいと思います。

 

前提条件など

トルコリラ円に300万円 VS 三通貨に100万円ずつで比較。

レバレッジは1倍とする。

・FX会社の条件を無視して、1通貨単位で保有できるものとする。

・数値は原則少数第一位を四捨五入

 

・値動きデータは以下の通り。

通貨ペア:2015年1月初値 → 2017年12月終値(期間中安値)

トルコリラ円:51.186 → 29.732(28.715)
南アフリカランド円:10.342 → 9.108(6.417)
メキシコペソ円:8.111 → 5.734(4.870)

 

・スワップポイントは以下の数値で仮置きしています。

トルコリラ円:100円/1万通貨
南アフリカランド円:15円/1万通貨
メキシコペソ円:10円/1万通貨

全期間の平均値まで計測する気力が無かったので当時を思い出しながらの感覚ですが、そう遠くない筈です。

 

トルコリラ円だけを保有していた場合

トルコリラ円:58,610通貨
累計スワップポイント:213,930円
瞬間最大評価損:-1,317,025円(スワップポイント除)
運用結果:3,000,000円 → 1,956,511円

 

3通貨に分散した場合

トルコリラ円:19,537通貨
南アフリカランド円:69,693通貨
メキシコペソ円:123,289通貨
累計スワップポイント:154,467円
瞬間最大評価損:-960,089円(スワップポイント除)
運用結果:3,000,000円 → 2,510,729円

 

比較すると・・・

強烈な下げ相場の中だったのでどちらもマイナスではありますが、分散することによってかなり損失を抑えられています。

各通貨の最安値を付けた時期が異なることから、最大の含み損も分散できたこともメリット。

そのため、トルコリラに集中投資して投資する場合最大でもレバレッジ2倍が限界でしたが、3通貨分散であればレバレッジ3倍まで利かせられたという結果に。

上昇相場に転ずればトルコリラ一極集中が有利ですが、下落を考えると分散しておいた方が安全ですね。

 

まとめ

・ポートフォリオとは、リスク軽減の為の分散投資。

・分散することで、一つの投資対象に問題が生じた時のダメージを軽減。

・高金利通貨も、一つに集中するのではなく複数に分散しよう。

・安値のタイミングがずれることで結果としてレバレッジを高められ、成績がアップすることも。

・とはいえ、それなりにリスクは高いので余裕資金で運用しましょう。

 


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