スワップ運用の基礎知識

『必要証拠金』と『証拠金維持率』について解説。|各社異なるロスカットルールに注意!

スワップ運用をする上で、絶対に避けたいこと・・・

それは、通貨下落の末路『ロスカット』

最悪の事態を避ける為にも、『必要証拠金』『証拠金維持率』の理解は欠かせない。

更に、実はロスカットルールは各社異なるんです。

証拠金維持の基本をしっかり理解して、安心して運用を継続しましょう!

 

・必要証拠金は各社基準が異なる

・『時価評価額』とは?

・『証拠金維持率』とは?

・ロスカットルールも異なる?

FX会社を選ぶ際、スワップポイントやスプレッドばかりに目が行きがちですが、意外にここも侮れませんんよ!?

 

ポイント

・必要証拠金の基準はリアルタイムレートだったり、前日終値だったり。

・通貨ペアによっては、レバレッジが制限されることも。

・『時価評価額』 = 預入証拠金 + 評価損益

・『証拠金維持率』= 時価評価額 ÷ 必要証拠金

・証拠金維持率100%を割ったら即ロスカットのFX会社もあれば、翌日までに入金(追証)すればポジションを維持できるFX会社も。

 

必要証拠金の基準は各社異なる?

現行のルールではFXのレバレッジは最大25倍

じゃあ、必要証拠金は一律で通貨価値の4%・・・なんて思ったら大間違い!

実は、FX会社によって証拠金の算出基準が異なっていたり、通貨ペアによって必要証拠金が個別に定められていたりするんです。

これを見落としていると、大丈夫だと思っていたのにロスカット、なんてことも起こり得るかも。

 

必要証拠金の算出基準

大きく分けて、以下のパターンが挙げられます。

・現在のレートを基にリアルタイムで算出
・前営業日の終値を基に算出
・先週末の終値を基に算出

リアルタイムの場合は1円単位なのがほとんどですが、前営業日・先週末終値を基準にしている場合は1万通貨あたり100円単位に切り上げられていることがほとんどです。

例えば基準額がUSDJPY = 100.3だった場合、純粋に4%を掛けると40,120円となりますが、大体40,200円に設定されます。

 

なお、くりっく365については先週末の終値を基準にボラティリティ(値動きの激しさ)を加味して調整が加えられます。

東京金融取引所の公式サイトで1週間ごとに発表されるので、確認しましょう。

参考:為替証拠金基準額(個人)(外部リンク)

※これはあくまで上限で、取扱FX会社が独自に証拠金を定めている場合もあります。

 

必ずしも4%とは限らない

FXのレバレッジはあくまでも『上限25倍』であって、FX会社が独自に引き下げることは何ら問題ありません。

よくあるパターンが『ドル円・ユーロドルなどのメジャーな通貨ペアは一律4%だが、新興国通貨は10%』とかいうパターン。

この場合、スワップ運用向けの通貨の最大レバレッジが10倍になってしまいますので要注意です。

 

FX会社によって『レバレッジ25倍コース』『10倍コース』『5倍コース』のように、レバレッジ別にコースが分かれている場合もあります。(楽天FXなど。)

この場合、全通貨一律でレバレッジの上限が定められてしまうので注意しましょう。

 

特に南アフリカランド・メキシコペソのように1通貨あたりの額が小さいものについては『必要証拠金は取引額の4%、ただし1万通貨あたり最低5,000円』などと定められていることも。

例えばMXN/JPY = 5.0の時、単純に4%で計算すると2,000円ですが、このルールによって5,000円が必要証拠金になってしまうことも。

運用するFX会社を選ぶ際は、この点も頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

 

『時価評価額 = 預入証拠金 + 評価損益

預け入れた証拠金と評価損益を足したものが、時価評価額。つまり『ポジションを全て決済するといくらになるか』です。

評価損益がプラス(含み益)なら足して、マイナス(含み損)なら引きましょう。

100万円入金した口座で10万円の評価損が出ていたら、時価評価額は90万円(100万円 - 10万円)です。

 

『証拠金維持率』= 時価評価額 ÷ 必要証拠金

上記で計算した時価評価額を必要証拠金で割ると、証拠金維持率が算出されます。

つまり、『必要最低限の資金に対し、どのくらい資金を維持できているか』です。

これが100%を割り込まないように、ポジション・証拠金をコントロールしていくことになります。

 

稀に『証拠金使用率』の場合も

ほとんどのFX会社では『証拠金維持率』を使いますが、稀に『証拠金使用率という基準を使う会社があります。

こちらは必要証拠金÷時価評価額で算出することができます。

結局のところは同じなのですが、こちらは100%を超えないように気を付けることになります。

 

FX会社によってロスカットルールは異なる

結局のところ必要証拠金 < 時価評価額の状態をキープし続けるのが絶対条件なのですが、それを割り込んでしまった時のロスカット(強制決済)のタイミングや基準はFX会社によってまちまち。

例えば・・・

・維持率が120%を下回ったらアラート(警告)メール、100%を割り込んだら強制決済

・100%を割り込んだ状態でNYクローズを迎えたら、翌日中に追加入金やポジション解消などで100%超へ回復。ただしそれまでに70%を割ったら強制決済

など。

特に、『100%割ったら強制決済』なのか『割ってもまだ若干の余裕がある』のかは、入金をしなくてはいけないタイミングが変わってくるので確認しておくべきです、

 

ポイント

証拠金維持率が100%を割り込んだ状態でNYクローズを迎え、証拠金の追加入金をすることを『追証』(追加証拠金)と言います。

 

必要証拠金が違うとこんなに違う?

では、必要証拠金が違うとどのくらい影響があるのでしょうか。

以下のような事例で検証してみたいと思います。

通貨ペア:トルコリラ円 (TRY/JPY)

条件:TRY/JPY = 25.0の時に実行レバレッジ5倍でロング(運用資金5万円で1万通貨)

比較内容:最大レバレッジ25倍と10倍で比較

備考:必要証拠金はリアルタイムレートに基いて計算されるものとする

ロスカットレート計算は、以下のように行います。

上記計算例ではロスカット時の必要証拠金をロスカットレート ÷ 25で計算しているので、これをロスカットレート ÷ 10とすることで最大レバレッジ10倍の計算に置き換えることができます。

その結果は以下の通り。

レバレッジ25倍:20.833・・・円

レバレッジ10倍:22.222・・・円

約1.4円の差があります。

これを大きいと考えるか、小さいと考えるかは人それぞれ。でも、他の条件が同じだったら最大レバレッジが大きい = ロスカットになりづらい方がいいですよね。

 

まとめ

・レバレッジは『最大25倍』だが、FX会社、通貨ペアによっては上限が低いことも。

・基本は必要証拠金 < 時価評価額の状態(証拠金維持率100%超)をキープし続けること。

・割り込んだ場合の強制決済ルールはFX会社毎にバラバラなので、事前に確認しておこう。

 


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