スワップ運用の基礎知識

『クロス円』と『ドルストレート』とは?|スワップ派も必ず両方のレートを見るべき理由。

FXで取引をする上で登場する、様々な通貨ペア。

それら通貨ペアは、『クロス円』とか『ドルストレート』などと分類されることをご存知ですか?

 

この記事では、

・『クロス円』と『ドルストレート』と『合成通貨』って?

・クロス円を運用する時もドルストレートをチェックすべき理由

・通貨ペアの前後順には注意!

という点について、まとめていきます。

 

要約すると

クロス円通貨:一方が円の通貨ペア
ドルストレート:一方が米ドルの通貨ペア
世界が意識しているのはドルストレート!

 

『クロス円』と『ドルストレート』と『合成通貨』

通貨ペアのうち、EUR/JPY、AUD/JPYのように円を含む通貨ペアのことを『クロス円』ペア(クロス円通貨)と呼びます。

一方でEUR/USD、AUD/USD、USD/TRYのように片方がドルの通貨ペアは『ドルストレート』ペアです。

日本ではUSD/JPY、EUR/JPY、TRY/JPYなどのクロス円通貨の方が馴染みがありますが、実は世界で取引されているのは、ほぼドルストレートです。

考えてみれば当たり前で、アメリカの銀行がわざわざNZD/JPYとか取引しませんよね。

 

AUD/JPYなどのクロス円通貨は合成通貨とも呼ばれ、ドルストレートのレートを基にFX会社(あるいは仲介する銀行など)がレートを算出しているのです。

AUD/USDが0.8でUSD/JPYが100だからAUD/JPYは0.8 × 100 = 80だな、といった具合です。

 

では、EUR/GBPのようにドルも円も含まない通貨ペアは?

答えは『クロスユーロ』もしくは『クロスポンド』。こちらも合成通貨の一種です。

『ストレート』はドルだけに使える語ですが、『クロス』は円に限ったものではありませんので、その時々の文脈で使いやすい方を選びましょう。

・・・まあ、あんまり使う機会もないですけどね。

 

まとめ

クロス円通貨:一方が円の通貨ペア
ドルストレート:一方が米ドルの通貨ペア
合成通貨:ドルストレート以外の通貨ペア(クロス円を含む)

 

世界の取引の中心は『ドルストレート』。必ずチェックしよう。

繰り返しになりますが、世界中で取引されている為替のほとんどは『ドルストレート』です。

トルコリラならUSD/TRY、南アフリカランドならUSD/ZAR、メキシコペソならUSD/MXNです。

そんなの関係ねえ!俺が取引してるのはTRY/JPYだ!

そう思う気持ちも分かりますが、盲目ならない為にはドルストレートも必ずチェックしましょう。

 

例えば、随分前の話になりますが・・・2015年8月頃の話をしましょう。

当時、トルコリラ円は40円を割れるか割れないかというレートで推移しており、史上最安値!と騒ぐ人がいる一方でこのボーダーを割ったら急落する!という主張をするアナリストが多く見受けられました。

で、結論から言うと一瞬40円を割ったものの、特に大きな動きも見せずに39円台で揉み合い、一度40円を回復、その数ヶ月後に再び40円を割るという何ともパッとしない値動きに。

何故かと言うと、当時USD/TRYのレートは2.7前後。別に節目でもなければテクニカル的なポイントでもない水準でした。

TRY/JPYの値動きには、USD/JPYが大きな影響を及ぼす・・・つまり、クロス円のレートを見て騒いでるのは日本人だけってことです。

それよりも遥かに多くのプレイヤーが注目しているドルストレートの方がよほどテクニカルに忠実で、レートの節目も強く意識されるのです。

事実、その数ヶ月後にUSD/TRY=3.0の水準に達し、ここでは1年近くに渡って揉み合いが続きました。

まあ、その後クーデター未遂やその後の政治不安などでトルコリラは急落したのですが。

 

ですので、クロス円の値動きだけを見て将来を予測することは困難です。必ずドルストレートの値動きにも目を光らせましょう。

このご時世、西の空だけを見て天気を予想しますか?レーダー見るでしょ?ってことですよ。

 

まとめ

クロス円に注目しているのは、ほぼ日本人だけ。
世界が意識しているドルストレートを注視せよ。

 

通貨ペアの並びにはご用心!

さて、突然ですが以下のチャートを見てください。USD/TRYの月足チャートです。(レートや年月は隠しています。)

グングン上昇しているこのチャート。トルコリラ安になってる?トルコリラ高になってる?

円高・円安の時と同じ考え方をしてみましょう。

USD/TRY = 3.0は、『1ドルと3トルコリラが等価』

USD/TRY = 5.0は、『1ドルと5トルコリラが等価』

1ドルの価値が同一だとすれば、『1トルコリラ=0.33ドル』『1トルコリラ=0.2ドル』ですから、後者の方がトルコリラの価値が小さい。

つまり答えは『トルコリラ安になってる』です。

 

チャートは上昇して数字も大きくなってるけど、トルコリラの価値は下落している。ちょっとややこしいですよね。

USD/TRYとTRY/JPYとUSD/JPY・・・その関係を一発で覚える方法は、ズバリ以下の通り!

・・・はい、懐かしいやつ。いや、これ冗談ではなくてね。

USD/JPY=100、USD/TRY=5.0、TYR/JPY=20と仮定して計算すると以下の通り。

ね?しっかり計算できるでしょ?画像では割愛してますが、約分もできますよ。

やってることは合成通貨の構造を紐解いているだけですが、実はこんな具合に三つ巴の関係になるんです。

右側、TRY/JPYを求める時はUSD/JPYをUSD/TRYで割る。USD/TRYは分母だから、こちらが大きくなれば解、つまりTRY/JPYは小さくなる、と。

並べ方を忘れた時は、画像の上で色分けしているように綺麗な配置になると覚えておけば導き出せます。

ただしこれはUSDよりも後に来る通貨の場合。『AUD/USDとUSD/JPYとAUD/JPY』だったら並びが変わりますね。

通貨の並び順についてはこちらの記事をチェック。

FX通貨ペアの順番と通貨コードについて解説。|基軸通貨と決済通貨って?

『USD/JPY』と『EUR/JPY』と『EUR/USD』。 はたまた『TRY/JPY』と『USD/TRY』。 JPYは常に右側だけど、USDやTRYは右だったり左だったり。あれ、CHFとUSDだった ...

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まとめ

・円を含むペアがクロス円通貨、ドルを含むのがドルストレート。

・世界の取引の大半はドルストレート。クロス円だけじゃなく、こっちも意識しよう。

・ドルストレートとドル円を掛け合わせれば合成通貨の出来上がり。(掛けるか割るかは並び順次第。)

 


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