スワップ運用手法

スワポなのにノーリスク!?『サヤ取り(アービトラージ)』とは|スワップ運用の投資手法

積立買い下がりなど、リスクを軽減するスワップ運用手法はいくつかありますが、強烈な下降局面ではどう足掻いても損失が出てしまいます。

でも実は、下落局面でも損失を出さずに稼ぎ続けるスワップ運用が存在するって、ご存知ですか?

この記事では、スワップ運用の中でも裏技的な投資手法『サヤ取り(アービトラージ)』について紹介します。

 

・サヤ取りとは?

・サヤ取りのメリット、デメリット

・サヤ取りに向いたFX会社の選び方

というポイントで、まとめていきます。

 

簡単に言うと

一つの会社で買いポジション、もう一つの会社で売りポジション。

FX会社ごとにスワップポイントが異なることを利用したテクニック。

攻撃力:★☆☆☆☆

防御力:★★★★★

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スワップサヤ取り(アービトラージ)とは?

サヤ取りとは・・・

  • 買いスワップポイントが高いFX会社で買いポジション
  • 売りスワップポイントが安いFX会社で売りポジション

をそれぞれ同じ数持つことで、為替変動による損益をゼロにする投資手法です。

別名、アービトラージ、裁定取引、異業者両建てとも。

 

文字にすると長いので、つまりこういうことです。(図にしてもごちゃごちゃしてます、すいません。)

 

・FX会社Aで買い、Bで売りのポジションを持つことで、FX会社間をまたいだ両建ての状態になる。

・これによって、相場が変動しても全体の評価損益は変動がなくなる。

(FX会社Aで利益が出たらBがマイナス、AがマイナスならBがプラスとなり、常に±ゼロ)

・FX会社Aのプラススワップよりも会社Bのマイナススワップの額の方が少なく、差引してプラスのスワップが貰える。

・相場変動による損益は常にゼロ、スワップポイントの差額分だけを受け取り続ける。

 

これがサヤ取りの仕組みです。

まず『会社間をまたいだ両建て状態によって、差引の損益をゼロにする』、そして『会社間のスワップポイントの歪みを利用して、差額だけプラスで受け取る』という2つの要素によって成立する取引です。

 

『サヤ』とは『利鞘』のことで、サヤ取りが出来る(A社のプラススワップよりもB社のマイナススワップが安い)状態のことを『サヤがある』とも表現します。

 

両建てについて詳しくはこちらの記事を参照してください。

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スワップサヤ取り運用のメリット

サヤ取りのメリットは、何と言っても相場下落の影響を受けないこと。

二つのFX会社を使って両建ての状態を作っているので、相場が上下しても評価損益の合計はゼロです。

正しく運用できれば、ノーリスクで確実に利益を出せる夢のような投資法です。

 

スワップサヤ取り運用のデメリット

ここまで聞くと、最強の投資法にも思えるサヤ取りにもデメリットがあります。

『スワップポイント付与額の差に依存している』『利益があまり伸びない』『メンテナンスの手間・コストが掛かる』という三点です。

加えて、『(良くも悪くも)相場変動の影響を受けないので、キャピタルゲインが全く狙えない』のもデメリットと言えるかもしれません。(メリットの裏返しですが)

それぞれ、詳しく説明していきます。

 

スワップポイント付与額の差に依存している

サヤ取りの前提条件として、『プラススワップが高い会社』『マイナススワップが安い会社』の二つがあって初めて成立します。

その為、全てのFX会社が同じようなスワップポイントを提供してしまうと、サヤ取りは成立しません。

FX会社ごとの差(歪み)があることが条件なのです。

この歪みが小さくなっていくと、サヤ取りの旨味も薄れてしまう為、長期継続できる保証はないというのが一つ目の欠点です。

 

利益があまり伸びない

サヤ取りの利益の源泉は、スワップポイントの『差』です。

この差が極めて大きければ最高なのですが、現実的には小さな差を見つけ出して運用していくことになります。

A社の買いスワップポイントが100円で、B社の売りスワップポイントが-10円、なんてことはまずありません。

せいぜい-70円とか-80円くらい。つまり差は20円~30円程度になってしまいます。

よって、安全な反面、利益は小さくなってしまう傾向があります。

 

メンテナンスの手間・コストが掛かる

サヤ取りは二つの口座間で両建てとなり、合計の評価損益は常に±ゼロとなりますが、だからと言ってロスカットが起きない訳ではありません

一方の口座に大きな損失が出てきたら、ロスカットになる前に利益が出ている口座から資金を移す必要があります。

この時、評価益は移すことができないのでポジションを一度決済する必要があり、取引コスト、つまりスプレッド分のコストが発生します。

スプレッドが高い通貨・FX会社だとコスト負けを起こしてしまう可能性があるため、急落しても損失が出ないからと言って、極端なレバレッジは禁物です。

 

また、一方がロスカットされた状態でもう一方が意図しない値動きを起こすと、大きな損失が出てしまいます。

例えば、買い口座がロスカットされ、売り口座のみになった状態で相場が反転上昇する、といった状況です。

そのような状態にならない為に、ある程度値動きがあった時点で両口座同時に取引が止まるように、指値・逆指値を入れておきましょう。

 

実際のサヤ取りをシミュレーション

では、実際にサヤ取りがどのような形になるのか計算をしてみましょう。

共通する条件として、運用資金を100万円、売買の口座にそれぞれ50万円ずつ分けて入金したものとします。

 

以下、通貨別に実際のFX会社の条件に近い条件で計算を行います。

売買のポジション調整は均等に発生するものとしてスプレッドは平均値を使います。

 

ロスカットの目安についてはこちらの記事の表も参考に。

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トルコリラでサヤ取りの場合

TRY/JPY=20

A社:買いスワップポイント100円、スプレッド1.9銭

B社:売りスワップポイント80円、スプレッド2.9銭

レバレッジを10倍とすると、ポジション数は売買共に25万通貨、およそ1.2円の値動きまで許容できる計算です。

1.2円というと中々シビア、割と頻繁に資金の移動が必要そうです。

年間に得られるスワップポイントは182,500円。1ヶ月に1度ポジションの調整を行うと仮定して、決済コストが72,000円。

差引利益が110,500円。年間11.05%の収益が期待できます。

 

その他のレバレッジも含めた計算は以下の通り。

レバレッジ3倍5倍10倍
数量各8万通貨各13万通貨各25万通貨
期待獲得スワップ58,400円94,900円182,500円
許容される値動き約5.6円約3.1円約1.2円
ポジション調整頻度6ヶ月毎3ヶ月毎1ヶ月毎
年間調整コスト3,648円12,480円72,000円
差引期待利益54,752円82,420円110,500円
期待収益率5.475%8.242%11.050%

以前よりもスプレッドが大幅に縮小され、決済コストが小さくなった恩恵が大きいですね。

トルコリラの場合は、買い口座の証拠金を多めに分配した方が効率的かもしれません。

10倍だとちょっとレバレッジが高過ぎる気がしますね。5倍程度での運用が好ましいのではないでしょうか。

 

南アフリカランドでサヤ取りの場合

ZAR/JPY=8

A社:買いスワップポイント20円、スプレッド1.0銭

B社:売りスワップポイント10円、スプレッド1.0銭

レバレッジを10倍とすると、ポジション数は各62.5万通貨。およそ0.5円の値動きまで許容・・・ちょっとこれもシビアですね。

年間に得られるスワップポイントは228,125円。1ヶ月に1度ポジション調整を行うと仮定して、決済コストが75,000円。

差引利益が153,125円。年間15.313%の収益が期待できます。

トルコリラに比べ1通貨の単位が小さく、数量が多くなると同時にスプレッドが占める割合も大きくなる為、決済コストのウェイトが重いですね。

 

同様に、他のレバレッジでも計算してみました。

レバレッジ3倍5倍10倍
数量各18.8万通貨各31.3万通貨各62.5万通貨
期待獲得スワップ68,620円114,245円205,313円
許容される値動き約2.4円約1.3円約0.5円
ポジション調整頻度12ヶ月毎6ヶ月毎1ヶ月毎
年間調整コスト1,875円6,250円75,000円
差引期待利益66,745円107,995円153,125円
期待収益率6.675%10.800%15.313%

0.5円の値動きで決済というのは運用上も中々困難なので、実質的にはレバレッジ5倍程度が良いバランスなのではないでしょうか。

 

メキシコペソでサヤ取りの場合

MXN/JPY=5

A社:買いスワップポイント15円、スプレッド1.9銭

B社:売りスワップポイント11円、スプレッド0.7銭

レバレッジを10倍とすると、ポジション数は各100万通貨。およそ0.3円の値動きまで許容・・・これまたシビアですね。

年間に得られるスワップポイントは146,000円。1ヶ月に1度ポジション調整を行うと仮定して、決済コストが156,000円。

10,000円の赤字です。

南アフリカランド以上に、決済コストのウェイトが響いていますね。

 

同様に、他のレバレッジでも計算してみました。

レバレッジ3倍5倍10倍
数量各30万通貨各50万通貨各100万通貨
期待獲得スワップ43,800円73,000円146,000円
許容される値動き約1.5円約0.8円約0.3円
ポジション調整頻度6ヶ月毎4ヶ月毎1ヶ月毎
年間調整コスト7,800円19,500円156,000円
差引期待利益36,000円53,500円-10,000円
期待収益率3.600%5.350%-1.000%

10倍よりも5倍の方が有利という逆転現象が発生しています。

とはいえ、3倍まで下げてしまうと流石に利益が小さくなってしまう。やはりこれまた5倍くらいが妥当

 

通貨別サヤ取りスワップ運用まとめ

 3倍5倍10倍
トルコリラ5.475%8.242%11.050%
南アフリカランド6.675%10.800%15.313%
メキシコペソ3.600%5.350%-1.000%

計算上の期待収益率だけを追求すると南アフリカランドでレバレッジ10倍が最も優秀となる計算ですが、ポジション調整の頻度を考えるとトントンになりそうです。

想定以上にボラティリティが高まる・スワップポイントが変動するといったリスクを考えると、トルコリラと南アフリカランドにそれぞれ5倍程度で分散するのが良いでしょう。

 

サヤ取りに向いたFX会社の選び方

サヤ取りにおけるFX会社選びは独自の基準があって、『買いスワップポイントが高いFX会社』と『それよりもマイナススワップが低いFX会社』の存在が何よりも重要、というか前提条件です。

加えて、ポジション調整のための決済コストを抑える為にスプレッドも小さい方が望ましいです。

重要度高:スワップポイントの『差』がある2社、スプレッド

重要度低:最小取引単位、取引ツールの使いやすさ

 

まとめ

・一つのFX会社で買いポジション、もう一つのFX会社で売りポジションを建てる

・相場の変動による評価を相殺し、スワップポイントの差だけを受け取る

・極めてリスクが低いのに年間10%前後の収益が期待できる

・口座のメンテナンスは忘れずに

・スワップポイントの変動によって破綻してしまうリスクあり

 

具体的な設定内容は、以下の記事にまとめています。こちらも参考に。

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