毎月『積立』してますか?
貯金、NISA、iDeco・・・などなど、政府が力を入れていることもあって色々な積立が出てきましたが、ここではスワップ運用の投資手法としての『積立』について紹介します。
・スワップ運用における積立とは?
・積立のメリット、デメリット
・ドルコスト平均法の嘘?
・積立に向いたFX会社の選び方
というポイントで、まとめていきます。
簡単に言うと
毎週・毎月など、定期・定額で入金と買付を行う投資法。
下落局面に強いほか、毎月の収支から捻出することで長期的な資産形成に効果的。
攻撃力:★★★☆☆
防御力:★★★☆☆
スワップ運用における積立とは?
積立という言葉は聞き馴染みがあって説明不要かもしれませんが、毎週・毎月など一定の期間ごとに、決まった金額を入金して、ポジションを増やすという投資法です。
例えば『毎月1万円ずつ入金し、1,000通貨買い増す』といったイメージですね。
毎月じゃないと積立でない、なんてルールはないので、毎日・毎週・2ヶ月おき・ボーナス月・年一回、どれも立派な『積立』です。
積立のメリット
積立のメリットは、ズバリ下落局面に強いことです。
バイアンドホールドの場合、買った直後に急落した場合には大きな損失を出してしまいます。
一方積立であれば一つ一つのポジションは小さいため、例え一度急落してもその後に入金・新規購入を続けることで証拠金維持率を回復していくことができます。
上記はTRY/JPY=25から毎月1円ずつ下落したと仮定した時、『レバレッジ3倍バイアンドホールド』と『毎月レバレッジ3倍積立』の証拠金維持率の推移を比較したグラフです。
積立は毎月入金を行うことで証拠金維持率の下落を食い止め、ロスカット(維持率100%割れ)を遅らせることができています。
毎月1円下落というのは極端な例なので、実際にはもっと大きな差(積立有利)となるケースがほとんどです。
『ドルコスト平均法』の嘘
積立の優位性を語る際、『積立の場合、ドルコスト平均法によって取得平均単価を引き下げることができるので有利』という解説が成される場合があります。
つまり『毎月1万円、レバレッジ3倍』などと決めて買う場合、価格が高い月は少なく、価格が安い月は多く買えるので、平均レートが引き下げられる、というものです。
これは『100万円・レバレッジ1倍』とした時の例です。
『120・100・80』の平均値は『100』ですが、ドルコスト平均法によって平均取得レートが引き下げられているのが分かります。
上下どのように動くか分からない相場の世界において、これを継続することで長期的に有利に働く・・・というのが『定説』です。
が、実は過去の様々な例において検証してみると、案外そうでもないのです。
例えば100万円元手にあったとして、まとめてドンと買うか毎月1万円ずつ買うかを比べると、積立の方がやや不利。
結局のところ、積立だと最初は99万円が運用されずに浮いたお金になってしまう訳ですから、その分投資効率が下がってしまうのです。
ずっと下落し続ける通貨の場合、積立は有利です。
ただしそれは『ドルコスト平均法が働くから有利』ではなく、『分散して購入するから有利』なのです。
積立が有利な本当の理由
ドルコスト平均法自体は有意義だけど、実際に比較実験をすると多くのケースで微妙な結果になる。
でも、ベテラン投資家の多くは積立を行っています。私も積立しています。
なぜでしょうか。
それは毎月の生活費から投資資金を捻出しているからです。
最初から100万円、1000万円あったら、まとめてドン(バイアンドホールド)でも良いのです。
でも誰もがそうじゃないから、毎月の生活費から1万円ずつ、3万円ずつ積立をしていく。
つまり、積立は資産を形成していく方法として有利なんです。
加えて、下落局面に強い。
この二つが積立のメリットです。
何だかんだ書きましたが、スワップ運用においてはリスクを低減できるので超おすすめです。
積立のデメリット
積立のデメリットは二つ。
一つは、上昇局面だと取得単価が上昇していき、キャピタルゲインが目減りしてしまうこと。
もう一つは、初期のスワップポイントが少ないこと。
どちらも原因は同じで、ドルコスト平均法の節で触れた通り前半は資金の大部分が浮いた状態になってしまうことです。
しかし、これはあくまでバイアンドホールドと比較した際の相対的なデメリットに過ぎないので、毎月の生活費から投資資金を捻出するのであれば問題はないと言えます。
積立に適したFX会社の選び方
FX会社を選ぶ際には、以下のようなポイントが基準になってきます。
・会社の信頼性
・スワップポイントの高さ
・スプレッドの狭さ
・取引ツールの使いやすさ
・最小取引単位
この中で、積立に重視されるのは『最小取引単位』です。
例えばTRY/JPY=25の時に、1万円・レバレッジ3倍で買えるのは1,200通貨です。
最小取引単位が1万通貨のFX会社ではこのような積立に対応できませんので、少なくとも1,000通貨単位の取引ができるFX会社を選ぶ必要があるでしょう。
次点としては、当然スワップポイントは高い方がいい。会社の信頼性も忘れちゃいけない。
バイアンドホールドに比べて取引ツールを使う機会は増えますが、優先順位的には後回しです。
重要度高:最小取引単位・会社の信頼性・スワップポイントの高さ
重要度低:スプレッドの狭さ、取引ツールの使いやすさ
買う回数は多いですが、売買を繰り返す訳ではないのでスプレッドの重要度は低めです。
まとめ
・積立は下落局面に強く、資産形成に効果的。
・本質的には、投資を『ローリスクローリターンに寄せる』為の投資手法という面がある。
・値下がりリスクが高い高金利通貨においては超有効。